遅延理由は何か PPP事業
アキノ大統領の任期満了まで1年を残している段階で、大統領肝入りの官民連携(PPP)事業は失敗に終わったと決めつけるのは公平さに欠ける。かといって、「大成功」との評価を与えるのも正しくない。なぜなら、PPPのスタートした2010年以来、落札企業の決まった事業は、小学校校舎建設や軽量高架鉄道(LRT)延伸など10件に満たないためだ。
PPP事業は、国家経済開発庁(NEDA)の閣僚級委員会で最終承認後、入札手続きに回される。3月時点で閣僚級委員会で最終承認された事業は計25案件あり、6月には新たに4案件が同委員会の審査に回された。数字を見る限り、事業選定・承認が格段に遅いわけではない。
政府は遅延理由を「大型事業が多く、技術的問題と法的複雑さが入札を遅らせている」と説明してきたが、PPP事業が始まって既に5年。これらの問題を解決する時間は十分あったはずで、実際、各事業を統括するPPPセンターのカニラオ所長は14年7月、「過去3年半、教訓を学び、制度改革を行ってきた。今後は、事業の実施速度を上げる」と公言していた。
同所長の発言から間もなく1年。予定通りに事業が進まない理由は、PPP事業の主体となる省庁、特に運輸通信、公共事業道路両省の事業実施能力にあるようだ。約1年前、同所長は「PPPを成功させるには、事業主体となる政府機関の能力向上が不可欠」と指摘したが、能力不足はエドサ通り沿いのインターチェンジ建設や首都圏鉄道(MRT)補修など、PPP以外のインフラ整備の遅れを見ても明らかだろう。今後もPPP事業を継続し、民間投資を呼び込みたいならば、政府機関の組織改革を断行し、事業を予定通り進める体制作りが先決だ。(23日・インクワイアラー)