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5月25日のまにら新聞から

大地震に備えよ 首都圏活断層マップ

[ 752字|2015.5.25|社会 (society)|新聞論調 ]

 地震学者が数年前に首都圏の「活断層マップ」を初めて発表した。しかし、影響を心配する実業家や不動産オーナーたちが苦情の声を上げたため、学者たちは活断層に関する声明を控えるようになった。活断層の地域から引っ越す住民も中にはいたが、最初の警告はおおむね無視されていた。

 しかし、フィリピン火山地震研究所は19日、ウェストバレー断層とイーストバレー断層の位置を詳細に示した「活断層マップ」を公表、これらの活断層で最低でもマグニチュード(M)7・2の地震が発生する可能性があると警告した。1990年7月16日のM7・8というバギオ大地震よりもわずかに弱い大地震にわれわれは備えることができるだろうか。

 最近、首都圏で開催された地震に関する会議で、マカティ市がM7・2の地震に見舞われた場合、死者2300人、重傷者7500人の大きな被害が発生し、8900棟のビルが倒壊するとの研究結果が発表された。フィリピン人は台風や洪水に対する備えはできているが、地震に対する備えは十分とはいえない。警告は出されているが、過去何十年も大地震を経験していないからである。しかし、日本やバヌアツなどの環太平洋火山帯で最近、大地震が相次いで起きたほか、同火山帯の外側にあるネパールでもM7・8の大地震が起きたばかりである。

 M7・2の大地震が首都圏を襲った場合、3万4000人が死亡、72万5000人が負傷、500万人が避難民になるという試算もある。財界では首都圏大地震に際し、パンパンガ州クラークに災害対策センターを設置する計画や、本社ビルを耐震設計にするなどの動きが出始めている。公共事業道路省も首都圏の橋りょう補強工事を始めている。大地震への真剣な備えが必要だろう。(22日・スター、アナマリー・パミントゥアン)

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