「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
30度-24度
両替レート
1万円=P3,820
$100=P5885

5月11日のまにら新聞から

一日も早い引退を パッキャオへの助言

[ 754字|2015.5.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 メイウェザーとの「世紀の一戦」直前、パッキャオが大統領選出馬に向けて準備中との情報が飛び交った。幸運なことに、1年後の次期大統領選には年齢制限(40歳以上)で立候補できないわけだが、われわれにとって危険なのは、制限をクリアする2022年の大統領選だろう。

 たとえボクサーとして成功し、高い人気を誇っても、ガバナンス(統治)については無知そのものだ。人気のおかげで地元選出の下院議員にはなったが、議場演説はスピーチライターの原稿を棒読みした1回切り。欠席日数最多のダメ議員と言わざるを得ない。

 一般労働者と同様、「働かない者に賃金は払わず」というルールを適用して公正を期すべきだが、現実は、議会を欠席して巨万の富を稼ぐボクサー議員とそのスタッフに血税が使われ続けている。

 そんな人物が16年5月の上院選、22年の大統領選に打って出るという。1年後に「ビナイ大統領」や「パッキャオ上院議員」が誕生した場合、この国は一体、どうなってしまうのだろうか。万が一、パッキャオが上院選で当選したとしても、ダメ議員の多い下院と違って、上院は知性的な議員がそろっている。元アクション映画俳優のラピド議員のように、議場の隅で黙り込むしかない。

 政治家向きではないパッキャオが、政界の階段を上りたがろうとするのはなぜだろうか。最高級ビレッジの豪邸や高級車、ヨットなどを買いあさる姿から推察するに、金では買えない社会的名声、地位を得ようとしているのだろう。ただ、人気雑誌の表紙を何度も飾り、世界中に名前の知れ渡ったフィリピン人は他にはいない。既に社会的名声を獲得しているわけで、パッキャオには政界、ボクシング界から一日も早く引退し、気楽な余生を送るようアドバイスしたい。(4日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

新聞論調