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3月16日のまにら新聞から

雇用を創出せよ 海外投資をてこに

[ 700字|2015.3.16|社会 (society)|新聞論調 ]

 アキノ政権は任期後半になって政治的に混乱した状態に陥っているが、経済活動の面で朗報が入った。中央銀行は、フィリピンへの外国直接投資が前年から約66%増加し62億100万ドルに達し、過去最高を記録したと発表した。

 投資額の増加自体は、明るい進展ではある。しかし、近隣国の投資額に比べるとフィリピンは大きく後れを取っている。過去数年間、アジア地域で最大の投資対象国となっている中国に劣るのは当然としても、フィリピンは東南アジア各国にすら大きく水をあけられている。

 海外投資額には、親会社が子会社の資産価値向上のために投資されたものも含まれている。フィリピンは特に地方での雇用を創出する投資が必要だ。フィリピンは近年、ビジネス環境が改善され競争力が上がったと投資家に評価されている。しかし、近隣諸国の外国直接投資額と比較すると、課題は山積み、というのも事実だ。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)内でも、フィリピンは、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシアだけでなく、ベトナムにすらかなわない。経済が自由化したミャンマーの成長も著しい。

 アキノ大統領は、自身が就任した以降に実施された政策が、継続的な経済成長をもたらし、大手格付け会社の評価も上昇していると成果を強調している。しかし、経済成長の恩恵を全ての国民に行き届かせることは課題として残っている。

 この国の経済はいまだ、国内に職がなく海外に働く場所を求めた1千万人のフィリピン人海外就労者による送金に大きく依存している。大統領には、海外投資が国内の雇用創出につながる環境づくりをする時間がまだ残されている。(12日・スター)

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