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3月9日のまにら新聞から

現市長対前市長 「マニラの戦い」

[ 733字|2015.3.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 10万人を超える市民が虐殺されたマニラ市街戦から70年後、新たな「マニラの戦い」が続いている。主役は、エストラダ市長=元大統領=とリム前市長。2013年の前回市長選で敗れた前市長が「立候補資格の欠如」を理由に、現市長の当選取り消しを求めて戦っている。

 前市長側が当選取り消しを求める理由は、主に?大統領在任中の不正蓄財事件で略奪罪に問われ、07年に終身刑判決を受けた際、公民権は停止?判決直後の大統領特赦は、議員など公職就任を求めないことが付与理由の一つ??の2点。1月には立候補資格を認める最高裁判決が出たわけだが、敗訴した前市長側は「公職にある者として最悪の罪を犯した人物が、再出馬できる道理などない」と、判決再考を申し立てて戦いを継続する構えだ。

 政権与党自由党の重鎮として知られるリム前市長が「マニラの戦い」を挑む背景には、1年2カ月後に迫る次期大統領選をめぐる党内事情がある。

 エストラダ市長は1998年の大統領選で、ラモス元大統領の後継指名を受けた与党候補を大差で破った。2010年の前回大統領選でも、アキノ大統領に次ぐ950万票を獲得、ビリヤール上院議員=当時=やテオドロ国防長官=同=ら有力候補に大差を付けて人気の高さを見せつけた。

 同市長らを中心とする野党陣営からは、ビナイ副大統領の次期大統領選出馬が有力視されている。しかし、汚職疑惑で同副大統領の支持率低下が伝えられる中、エストラダ市長が再び大統領選に立候補する可能性が高まりつつある。今後、市長勝訴の最高裁判決が確定し、大統領選出馬への障害がなくなった場合、政権継続を目指す自由党陣営にとって、エストラダ市長は厄介な存在となるだろう。(5日・トリビューン、ルイ・ロガルタ氏)

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