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2月16日のまにら新聞から

問われる指導力 55歳迎えた大統領

[ 733字|2015.2.16|社会 (society)|新聞論調 ]

 アキノ大統領の誕生日から2日が経過し、遅ればせながらメッセージを送りたい。大統領は政治生命が問われる最中に55歳を迎えた。ただ単に歳を重ねたというだけでなく、良識と学識を兼ね備えた人間として認められるか否かという問いを踏まえれば、この節目を手放しで祝福することはできない。

 警官44人を含む68人が死亡した国家警察特殊部隊のテロリスト追跡作戦は、大統領が賢明ではないと判断できる根拠を国民に与えることになった。

 大統領はこれまで、慈悲心をささげ、多くを学ぶべきだと公の場で明言してきた。しかし55歳になった今、貧困層や抑圧された人々を支援する最も効果的な方法は、彼らの立場を慮ることだと悟ったかもしれない。

 今回の事件は、プリシマ前国家警察長官の辞任をはじめ、仲間を公職から追放するという苦渋を味わった。先日の演説で大統領は、自身に忠誠を尽くした仲間を失った事態を嘆いた。昨年、前長官に汚職疑惑が浮上した時、真っ先に弁護したのは大統領だった。このような「政治的振る舞い」には、国民はもう慣れっこになっている。

 だから今こそ、その態度を改める必要がある。透明性を信条に掲げてきた大統領は、自らの発言に従って行動を起こさなければならなかった。

 今回の事件について言えば、追跡作戦を指示したことについての説明責任を果たさなければならない。上院聴聞会では、多くの疑問が噴出した。追跡作戦前になぜ大統領公邸で会合がもたれたのか。前長官はなぜ国軍に口外しないよう指示したのか。事実であれば、大統領は意図的に国軍の指揮系統を乱したことになる。 

 大統領の任期終了までまだ1年余り。賢明な大統領になれるよう期待したい。 (10日・スタンダードトゥデー)

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