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2月9日のまにら新聞から

大統領は支配層寄り 警官追悼式典欠席

[ 723字|2015.2.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 1月29日は特別な日だった。しかし、テロリストを捜索中に犠牲となった警官隊の遺体がマニラに到着した際、アキノ大統領はその哀悼式典を欠席したのだ。大統領は国父であり、死んだ兵士たちは共和国の息子なのである。しかし、大統領はそこにいなかった。いったいどうしたのだろうか。

  この大統領は見識を備えた政治家としての資格を持たない典型的なタイプといえる。国の経済は海外出稼ぎ労働者からの送金で好調な経済指標を維持しているが、問題は彼が見識ある政治家とはどういうものかを知らないことにある。大統領はあの日、ビジネスマンたちと一緒にいることを選んだのだ。あの日に実業家と同席するのを選んだのは、彼が有産階級と貧困層の間で権力闘争が起きた時にどちら側につくかを如実に示したといえよう。

 アキノ大統領が古い統治制度の奴隷であるため、死者たちを忘れたのだと言っても過言ではないだろう。警官たちはアンドレス・ボニファシオが推進したフィリピン革命の子どもたちだ。大統領はじめ支配階層はこれら革命で流された血から利益を得ている。

 アキノ大統領はあの日、わざと死者に敬意を示す式典に参加しなかった可能性がある。我々の歴史は勝者のみを記憶して歴史教科書に記載し続け、敗者については朽ちるままにほっておくのだ。勝者の歴史と言っていい。

 イスラム教徒に対する不公平な偏見も一部の人間による疎外化の結果なのだ。宗教が敵なのではなく、人間の強欲こそが本当の敵なのである。

 私たちは警官たちに静かに祈るべきである。あの警官たちは無駄に死んだのではない。人間からではなく、神から名誉と栄光を授けられるだろう。(4日・インクワイアラー、クリストファー・マボロック氏)

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