貧困層に恩恵を 経済成長率
2014年第4四半期の国内総生産(GDP)成長率は、6・9%という驚きの結果になった。フィリピン経済は景気低迷の悪循環に陥ることはなく、危機を脱したかたちだ。
農林水産、公共事業、輸出、鉱工業など主要産業の多くが、成長が鈍化した第3四半期から回復し、通年のGDP成長率は6・1%となった。
国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は上機嫌で、今年は経済成長がさらに加速すると予測した。長年フィリピンを苦しめてきた景気の悪循環から抜け出すことができた。同長官によると、過去5年間の成長は、年間9%台に迫る成長を継続していた1970年代以来の規模という。
一方、同長官は、経済効果が貧困層にまで波及するには、20年間は同じくらいの高成長を継続させなければならない現実があると認めた。最貧困層が成長の恩恵を享受するためにも、改革を進める必要があるという。
国内外の経済専門家は、生産性向上と早急な雇用創出のためには、インフラ整備が不可欠と指摘している。高速道路、橋、港湾、空港などが整備されれば、農家や漁師が日々の暮らしに苦しんでいる地方も発展するだろう。
インフラ整備は物流の改善や、生活必需品の物価安定にもつながる。国内経済が活性化することで、気まぐれな外国投資への依存度も低下するだろう。
経済成長とは結局のところ、どれだけ多くの国民に恩恵が波及するかでその評価が決まる。特に貧困層に対する影響が重要だ。
雇用を創出し、貧困問題を解決する--。経済活動のあらゆる側面で取り残されてきた人々にも好影響を与える経済成長を目指すべきだ。(30日・スタンダードトゥデー)