政府に対する認識 台風ヨランダ1周年
1年前のきょう、未曽有の超大型台風ヨランダは午前4時、ビサヤ地方東サマール州ギワン町に上陸した。
気象学者が言うように、史上最大規模の台風が東部ビサヤとルソン地方パラワン島を横断し、烈風が沿岸部の集落を襲い、後には殺人的な高波が何もかもを流し去った。生き残った者は語る。高波は抱いた赤ちゃんを両親の腕からもぎ取り、泣き叫ぶ住民ごとすべての民家を根こそぎにしていった、と。海岸から遠い避難所にも烈風と高波が達し、避難住民はさらに高台へと逃げなければならなかった。
台風が過ぎ去り、夜になっても被災地に救助や支援は来なかった。台風前日、アキノ大統領は、被災者用の食料や援助の用意はできているとテレビを通じて話していた。しかし、翌日になっても支援は来なかった。報道によると、3日目になってやっと少しずつ食料支援の用意が始まったという。しかし、そのころにはすでに世界各国からメディアが被災地に入り、悲惨な状況や深い悲しみ、政府の機能停滞に対する激しい怒りを世界中に報じていた。
政府が何も役割を果たさなかったというのは不正確だ。政府は兵士からソーシャルワーカーまで多くの人員を派遣し、被災地の復興を助けている。しかし、政府の対応は始めから被災者への同情に欠けている。例えば、略奪行為を鎮めるために被災地で戒厳令を敷いてほしいとの被災者の求めに対し、大統領は「でも、あなた方は死んではいないだろう」と不適切な発言を返した。こういった積み重ねによって、国民は政府の能力は著しく欠けていると認識するに至った。
そういった認識は今に至るまで変わらない。未曾有の大災害から学ぶべきことを政府が無視し続けているからだ。(8日・インクワイアラー)