解雇は妥当な措置 鉄道総裁の辞任劇
首都圏鉄道公社(MRTA)のビタンコル前総裁は、「自ら辞任した」と主張する。しかし、運輸通信省のアバヤ長官とアキノ大統領は「解雇した」と言う。
いずれにしても、ビタンコル氏は、不本意な論争に巻き込まれても執着し続けた要職から退いた。同氏は予算5億1700万ペソの首都圏鉄道(MRT)3号線改修工事を、義理のおじが経営する建設業者に発注していた。この会社は受注のわずか2カ月前に払込資本62万5千ペソで設立されたばかりだった。
しかし、同氏は下院公聴会では「初めはこの会社がおじの経営している会社とは知らなかった」と主張した。家族間の連帯が強いフィリピンでは、あり得ないことだ。家族の仕事を知らないままでい続けることなど不可能だ。
改修工事を請け負った会社がおじの会社だという事実を隠し続けていたことが問題視されていることに対し、ビタンコル氏は「会社情報を明らかにするのは入札者の義務で、私の義務ではない」と反論している。
なぜなら、同氏はおじの会社が改修に関わっていると分かると、すぐにおじに会社の株式を放棄するよう求めたという。果たして本当だろうか。
私たちは、政府が同氏の解雇処分を中止しないよう望む。同氏が汚職に関わる政府高官と密接な関係があるといった報告があり、調査は着々と進んでいる。同氏は、MRTA総裁だった時期も、通勤・通学ラッシュ時に長蛇の列に並んで我慢を求められる乗客に対して何もできなかった。
今回はちょうど良い機会だったのかもしれない。しかし、悪名を欲しいままにし、政府の政策を疑いたくなるような行為を行った同氏や他の政府高官には、さらなる罰を与える必要がある。 (29日・スタンダードトゥデー)