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5月19日のまにら新聞から

活気を取り戻す一歩に パシッグ川のフェリー

[ 712字|2014.5.19|社会 (society)|新聞論調 ]

 パシッグ川はかつて「牧歌的な川」と評されていた。ラグナ湖からマニラ湾に流れる25キロの河川では、何世紀にもわたり、水浴びができ、飲み水にもされてきた。歌や詩にも登場し、多くの画家が題材にした。マグサイサイ元大統領がパシッグ川で泳ぐ姿を撮影した1950年代の写真も残っている。

 しかし、人々に愛されたパシッグ川の水質は汚染し、その魅力を失った。さまざまな改善策が講じられたが、今でもひどく汚れたままだ。汚染は最近始まった話ではない。近代化が始まった1930年代から指摘されていたが、当時は誰も気にとめなかった。

 工場排水が流れ込み、生活ゴミが投げ込まれ、川は有害物質であふれた。80年代、川で生存する魚が消滅し、政府も対策に乗り出さざるを得なくなった。しかし、川をよみがえらせるために実施された数々の対策も、結果は芳しくない。政府の予算とやる気が不足しているからかもしれない。

 水質を改善し、活気を取り戻すのは、パシッグ川再生計画の一部分でしかない。首都圏開発局は、排気ガスと渋滞を避けたい通勤者の呼び込みを狙い、パシッグ川フェリーの運航を再開し、渋滞緩和策としても注目されている。

 以前運航していたフェリーは、150人乗り、エアコン完備のフェリーでビデオ鑑賞もできた。しかし、乗客数に見合わないフェリーは利用率の悪さから財政難に陥った。休止前には乗客待ちのため、運航予定を変更することも常態化した。新しいフェリーは小さく、エアコンも付いていない。停泊場の数も減らされた。それでもなお、パシッグ川フェリーは理想的な交通手段といえる。これが定着すれば、川に活気が戻る大きな一歩となるだろう。(13日・タイムズ)

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