ネット世代が変革か
長官の恐喝ビデオ
台風ヨランダ(30号)の被災直後に、ロムアルデス・タクロバン市長に対し、ロハス内務自治長官が政治的対立関係を持ち出し、政府による支援の躊躇を示唆した会合ビデオが投稿サイトで公開されたことは画期的だった。このビデオ暴露により、次期大統領を目指すロハス長官の野望が台なしになりそうだし、何よりも全国紙・テレビなどの主要メディアの報道機関としての役割をソーシャルメディアが初めて超えたからだ。
死者が1万人に達するかもしれないと発言し、その後政府に解任された国家警察東ビサヤ地域本部長が当初証言した被災の恐ろしさや、レイテやサマールでの膨大な復興作業の大変さを考えた時、ロハス長官が政治問題を表に出したことは、本当に大きなニュースだった。被災後の数週間、政府による支援が遅く、適切でなかったために多くの死体が数日間も放置された理由なども長官の支援を躊躇する姿勢が如実に説明している。
12月9日にこの問題ビデオが投稿されてしばらくたつが、大手メディアはほとんど報道していない。しかし、このビデオの視聴者数は5日間で91万5千人に達している。100万人の達成は確実な情勢となっている。。
一方、大手放送局がロハス長官側の釈明スピーチを録画し投稿したビデオの視聴者はまだ5千人にも満たない。これは視聴者たちが、タクロバンが被災で苦しむ中、与党から次期大統領を目指す長官が本当にあんな恐喝とも取れるスキャンダラスな意見を表明したのか、その事実を知りたかったことを示している。
今回のビデオは常に大手メディアを支配してきた政府の力を初めてしのいだ。現代社会における政治変革の先鋒はネット世代が務めるのだ。(16日・タイムズ、リゴベルト・ティグラオ氏)