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7月1日のまにら新聞から

無意味な経済指標

[ 729字|2013.7.1|社会 (society)|新聞論調 ]

株とペソ安

 なぜ、フィリピン証券取引所の株価下落や、最高値更新に一喜一憂する必要があるのだろうか。貧困層は株を持たないから、損も得もしないのに。

 一部の富裕層の財産を「経済」と見なす人々を除いて、株価はこの国の経済の状態を示す指標ではない。ごく少数の個人や組織だけに、それは意味がある。自社株が証券取引所で売買される企業の運に賭ける個人や組織だ。

 2009年の民間調査結果によると、成人の25%しか証券取引所の存在を知らなかった。そのうち株を持っていると答えたのは4%で、全国民のわずか1%にすぎない。株主が少ないのは幸運だ。貧困層は証券市場のバブルや、バブル崩壊と、自動的に無縁になるからだ。

 貧困層の大敵はインフレである。低い生活水準と、インフレに対する当たり前の不安から、国民の大半は住居や家財、土地、仕事に必要な資本財など「実物」を資産として持つ。副次的な金融資産は、現金や銀行預金だけだろう。少し余裕のある層は、生命保険や健康保険に入る。

 これらの資産も賃金も、通貨で表示されるすべてがインフレに弱い。インフレ率の変化に伴い、貧困は、四半期ごとに拡大、あるいは縮小する。特に、食品価格の変動は決定的に重要だ。

 消費者物価の安定に次いで、貧困との戦いに重要なのは①正規雇用の創出②農業の生産性向上③格差なき公的支出││の三つである。最新の研究は、国内総生産(GDP)総体ではなく、その中の農業生産と公的支出が重要だと指摘する。製造業や鉱業、サービス業は、四半期ごとの貧困動向とさほど関係ない。消費支出や投資もしかりだ。だからこそ、貧困にかかわる農業生産と公的支出を注視することが肝要なのだ。(29日・インクワイアラー、マハル・マンガハス氏)

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