武装集団をまねるな
子ども兵士問題
またも,フィリピンは不名誉なリストに載ってしまった。武力紛争に子ども兵士を利用する「常習犯」とされる11カ国に入ったのだ。
国連が発表した「子どもと武力紛争に関する報告書」の中で、フィリピン国軍は昨年、2回にわたり子どもを作戦行動に組み入れた疑いがある、と指摘された。誠に、恥ずべきことだ。ミンダナオ地方の南ダバオ州で昨年10月、国軍の武装集団に対する掃討作戦で少年2人が死亡した一件でも非難された。
国連が、フィリピンで「常習犯」と名指しした組織は、モロ・イスラム解放戦線(MILF)とフィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)、さらにはイスラム過激派のアブサヤフ。これら3集団は、少なくとも過去5年にわたり、国連事務総長がまとめるブラックリストに載った。アフガニスタンのイスラム過激派タリバンと同列に置かれてきたわけだ。
国連はまた、フィリピン政府が進めるMILFとの和平交渉により、紛争地域における子どもの保護で、改善が見られるのではないか、と期待を表明した。
政府は、NPAやアブサヤフが軍事作戦で子どもを利用するのを止められない。政府にできるのは、国軍にこれら武装集団のまねをさせないことだ。
国軍はまだ、人権を侵害する軍隊という悪い印象を払拭できていない。超法規的な殺人に関与してきたとの報道に対し、国軍は正当な反政府勢力への掃討作戦の結果生じた死者である、と反論し続けてきた。
武力紛争の過程で、子どもを利用すれば、国軍に対する国民の印象がさらに悪くなるだけだろう。見張り番に立たせるだけで、子どもは危険にさらされる。国軍が人心をつかみたければ、敵と逆の行動をとることが必要だろう。(19日・スター)