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6月3日のまにら新聞から

大衆に果実を

[ 741字|2013.6.3|社会 (society)|新聞論調 ]

第一四半期のGDP

 第1四半期(1〜3月)の国内総生産(GDP)実質成長率は、6・6%を記録した2012年通年に続き、7・8%となった。政府の予測を上回り、中国の成長率7・7%をも超えた。フィリピンはアジアで最速の成長国家なのだ。格付け大手2社が、フィリピン国債を投資適格級に引き上げた。アキノ大統領の「良い統治」が信頼を生み、最近の良いニュースにつながった。これを、雇用を創出する投資につなげなければいけない。経済成長の果実を、大衆に行き渡らせる政府の課題に、役立てなければならない。

 2007年に7・2%の成長を記録した際、貧困層への恩恵がなかった。その結果が08年の4・2%、09年の1・1%だった。7・6%に回復した10年は、統一選効果だったのだろう。

 政府統計で、06年から12年初めまでの貧困状況は、ほぼ横ばいで推移した。公式データによると、フィリピンは貧富の格差が最も高い国の一つだった。

 ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業が飛躍的に伸び、経済成長に貢献した。しかし、GDP成長率の主因は長年、フィリピン人海外就労者(OFW)からの本国送金による個人消費だ。本国に仕事がないから、出稼ぎに行くのだ。第1四半期のGDPも同じ構図だった。

 景気が良く、企業も好業績とはいえ、外国からの直接投資はそれほど伸びない。近隣諸国は、大量の雇用を生み出す外国直接投資をどんどん呼び込んでいる。

 世界銀行の小西基夫フィリピン事務所長は最近、「フィリピンはもはや、東アジアの病人ではない。前途有望なトラだ」と表現した。最新の成長率は、彼の評価を裏付ける歓迎すべきニュース。政府の課題は、利益を一握りの特権層だけでなく、全フィリピン人に享受させることだ。(1日・スター)

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