王朝と亡霊は健在
統一選の進歩と後退
13日投開票の統一選は、希望の源泉や待ち望まれた勝利をわれわれに見せてくれた。一方で、これらを帳消しにするような後退も現実となった。
飛行機事故で他界したロブレド前内務自治長官のレニ夫人の下院選での地滑り的勝利は、希望を象徴する存在だった。選挙運動は困難を伴ったが、その勝利は亡き夫の遺志を継ごうとした故コラソン・アキノ元大統領らと同様の物語として理解できるだろう。
カガヤンデオロ市長を長年務めた現職の落選、セブ市長選で返り咲きを狙ったオスメーニャ氏の敗北、セブ州知事選における現職の後継候補落選も、古い政治からの脱却という希望を与えてくれた。
しかし、セブ州のガルシア一族やオスメーニャ一族らは、このまま滅び去るわけではない。市長選で敗れたオスメーニャ氏は「選挙結果は、金と脅迫、電子投票システムによりもたらされた。決して、敗北宣言はしない」と公言し、不正を理由に、結果への異議を申し立てる構えだ。
ラウニオン州のオルテガ一族、イサベラ州のディ一族、南イロコス州のシンソン一族、バタアン州のガルシア一族など、地方の「王朝」に加えて、歴代政権の残した「亡霊」も健在だ。在任中の選挙妨害事件などで逮捕されたアロヨ前大統領は下院選で再選され、略奪罪で有罪判決を受けたエストラダ元大統領は首都圏マニラ市長選で当選を果たした。さらに、イメルダ・マルコス元大統領夫人は下院選で再選され、その長女アイミーも北イロコス州知事選で再選を決めた。
希望をもたらす変化と、それを元のもくあみにする後退。今回の選挙は「物事が変化すればするほど、その根幹は同じであり続ける」という格言を立証したように思える。(16日・インクワイアラー)