新聞論調
「期待はしていない」大統領施政方針演説
多くの国民にとって、大統領の施政方針演説は節目の行事である。下院議事堂前では、恒例の抗議集会が開かれ、数千人の警官が配置される。近隣の学校では休校処置が取られる。
過去2回の演説は、美辞麗句を並べるだけで、具体的な構想に欠けていた。今年はどうだろうか。
大統領は、汚職の広がりを名指しで暴露することにより、アロヨ前政権を批判し続けてきた。そして、悪と戦う救世主の役割を演じ「改善の兆しは見えている」と、現政権の正当性を強調してきた。
しかし、先が見えないのに「改善が見られる」と言うのは難しい。6年の任期の半分は過ぎた。任期切れの時点で、どの程度の経済成長が見込めるのか。名目的な成長が国民生活の具体的な向上に、どうつながるのか。官民連携(PPP)事業の恩恵は、地域社会に及ぶのかどうか。
大統領は、前大統領の起訴と最高裁長官の弾劾を、過去1年間で最大の実績と喧伝するだろう。そして「汚職撲滅の戦いに勝利しつつある」とお決まりの文句を並べるだろう。
過去2回の施政方針演説では、大統領が触れなかった政策の方が注目された。「政府の透明性」と「出産選択の自由」への支持を表明しながら、情報公開法案や人口抑制法案については、黙して語らずだった。
また、米人権団体から政治的殺人への対応不足を非難されているのに、どうして「暗黒時代は今や過去のものになった」と言い張れるのだろうか。
国民の多くは、大統領が3度目の演説で何を話すか、すでに察している。だから、あまり期待していない。一度でいいから、私たちが間違っていることを証明してほしい。(19日・スタンダードトゥデー)