「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
29度-23度
両替レート
1万円=P3,730
$100=P5855

4月16日のまにら新聞から

「外交的解決」とは

[ 673字|2012.4.16|社会 (society)|新聞論調 ]

スカーボロ礁領有権

 比領土であるスカーボロ礁で、中国の監視船がわが海軍が保有する最新、最強の軍艦の行く手を阻んだ。中国の故トウ小平総書記はかつて、ベトナムとの関連で「大人の言うことを聞かない子供は、効果的に尻をたたいてやる必要がある」と言った。我々はそんなお仕置きを受けた。

 デルロサリオ外務長官は「スカーボロ礁が比固有の領土であることは明白であり、領有権が挑戦を受ければ、防衛する」と語った。我々はこの発言を歓迎する。外交的に抗議したのも、正しい。しかし、我々は今後、西フィリピン海(南シナ海)で、中国によるさらなる威嚇行為が起きる事態を覚悟する必要がある。

 では、比はどうすべきか。我々には、核保有国である中国と戦う手立てはない。米国に自国防衛を頼ることもできない。だから、外交をもっと有効に活用すべきだとする論者がいる。その意味は何か。

 それは、中国と戦う軍事力や手段があるかのような議論をするのを止めることだ。中国の歓心を買うため、領有権主張を抑制することでもある。国際舞台で、中国に抗議するのは控えるべきだし、米国の問題への介入も支持すべきではない。米国との合同軍事演習もすべきでない。要するに、誇りを捨て、中国に従属すること。それが、彼らの言う「外向的解決」なのである。

 デルロサリオ外相によると、比と中国の外交交渉は暗礁に乗り上げている。交渉の進展には、いずれかが譲歩する必要がある。真剣な外交交渉では、双方が満足する「ウイン・ウイン」の解決はない。

 とはいえ、我々は強姦国家を甘んじて受け入れるべきだろうか。(12日・タイムズ)

新聞論調