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2月13日のまにら新聞から

率先して備えを

[ 730字|2012.2.13|社会 (society)|新聞論調 ]

ネグロス島沖地震

 ネグロス島とその周辺地域を揺らしたマグニチュード6・9の地震では、セブ市で津波警報が出された。私の知る限り、津波警報は今回が初めて。明らかに昨年の日本の大津波災害を見た人々がパニックになった。高台に車で逃げようとした人々が渋滞に巻き込まれたり、不安定なビルや陸橋に逃れる人も多く、幾多の課題を残した。地震よりも津波にどう備えるかが大切だと思われる。

 また、地方自治体は流言飛語が携帯文字メールやソーシャルメディアを通じて拡大するのをどう防ぐのか、その対策も大切だ。比火山地震研究所は今回、海面が多少上昇する水準である「レベル2」の津波警報を出したが、もっとひどい津波になるとの情報が携帯文字メールなどで広がり、沿岸地域の住民が先を争って高台に逃げようとした。警報を無視するよりはパニックになって逃げる方がましだが、無秩序に駆け出すと子どもや、お年寄りに被害が出やすい。

 津波対策としては高台に衛生的でクリーンな給水施設を備えた避難所の設置も準備できるだろう。また、地震は無理だとしても、津波については早期に警報を出すシステムを整えることも可能だろう。地震に伴う液状化現象なども対応が難しい分野だが、影響を最小限に抑えることは可能だ。

 1968年8月に首都圏を襲った地震では、マニラ市サンタクルスの6階建てビルが倒壊し住民342人が亡くなった。また90年7月に発生したバギオ大地震では1621人が死亡した。この大地震の悲劇にもかかわらず、バギオでは、急峻(きゅうしゅん)な崖や山肌に張り付くように不法占拠住民らの大集落が形成され続けている。政府は国連組織の勧告を待たずに速やかに地震対策を強化すべきだ。(8日・スター、アナマリー・パミントゥアン氏)

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