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12月19日のまにら新聞から

司法制度の弱点

[ 727字|2011.12.19|社会 (society)|新聞論調 ]

拘置施設で賄賂横行

 ミンダナオ地方マギンダナオ州で2009年11月に起きた大量虐殺事件の被告が収監されている拘置施設で、アンパトゥアン被告=イスラム教徒自治区(ARMM)元知事=から脱走と引き替えに賄賂を提供され、職員が拒否したという情報が浮上した。提示されたのは総額5千万ペソで、うち1千万ペソが頭金。残りは逃走後に支払われるという内容だった。

 幸いなことに、正直な政府職員は他にもいる。首都圏パラニャーケ市の拘置施設でこのほど、危険薬物取締法違反で起訴された中国人3人が脱走した事件では、職員の1人が脱走を手引きしたと白状し、内務自治省が現在、調査している。

 このような脱走劇がなくなることはない。国家警察本部の拘置施設ではこれまで、薬物違反者、誘拐犯、テロ事件に関与したとされる容疑者までもが次々と脱走を図った。これらは容疑者を監視する職員との共謀なくしては不可能である。

 問題は国家警察や刑務所だけにとどまらない。麻薬所持や他の重罪を犯した外国人や逃亡犯などを、入国管理局職員が国外脱出させる事例もある。そして裁判官(かつてエストラダ元大統領から「法服を着ただけのチンピラ」とやゆされた)は、この国外逃亡を可能にするため、外国人犯罪者に保釈を認めるのだ。

 汚職に言い訳は無用だ。虐殺事件の拘置施設職員は、誠実な公務員の存在を証明してくれた。その一方で、毎月の月給が5千ペソ程度の職員に7桁の金額の賄賂を突き付けられたら心が揺れるのもまた事実だ。

 拘置施設および刑務所における職員の不正を調査するのはもちろん、彼らの生活実態調査も賄賂摘発につながる。受け取る職員の存在は司法制度の弱体化につながるため、直ちに閉め出されるべきだ。(15日・スター)

新聞論調