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12月12日のまにら新聞から

国民は大統領支持

[ 704字|2011.12.12|社会 (society)|新聞論調 ]

最高裁長官批判

 行政、立法、司法の三権分立をうたう政治制度では、意見の不一致は当然起きる。各々が互いに監視し合うのはその機能だからだ。しかし、それをどのような態度で表明するかは場合による。

 大統領が優先法案の審議が遅いと国会を批判することはよくあるが、最高裁長官を公然と非難するのは極めてまれだ。これは、最高裁に法秩序の基礎としての敬意を表すからで、代わりに政治とは交わらず個人の美徳を示すよう期待する。

 しかし、最高裁判事は政治と縁を切ることに苦労してきた。判事は全員、推薦リストに基づき大統領が任命する。比社会では、要職に任命してもらった恩義を無視することはできない。それはしばしば専門性よりも重きを置かれる。米国では、優れた法的専門性に加え、学識のイデオロギーも基準になる。比では、個人的な恩義と親類関係の縁からいかに決別できるかが常に重要になる。

 比の歴史上、戒厳令下を除いて、最も三権が政治に巻き込まれたのはアロヨ前政権下にほかならない。選挙不正疑惑に始まり、多数の国軍幹部の政治任用、最高裁判事人事に加え、アンパトゥアン一族などの地方の軍事的支配者の利用など。大統領任期終了後も下院議員として政治力を維持しつつ、訴追免除特権を失った分を埋めるように任命したのがコロナ最高裁長官だ。

 個人を面前で侮辱することに憤るのは比人の文化だ。しかし、大統領は無作法にさえ見える危険を覚悟で、コロナ長官の目の前で深いいらだちをぶちまけた。声を震わせながらも、面と向かって相手に自ら恥ずべきだと吐露した。国民が大統領を支持する姿勢をみせたのには勇気づけられた。(8日・インクワイアラー、ランディー・ダビド氏)

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