興隆求める気構え
韓国と比の差
かつて、フィリピンがアジア地域で最もダイナミックな経済力を持つ国の一つとされていた当時、アジア開発銀行(ADB)が、首都圏パシッグ市に本部を設立した。
ADBの建物は韓国のヒュンダイ建設が請け負ったが、当時の最高経営責任者は元学生運動の指導者だった。現在の李明博・韓国大統領である。その李大統領が20日来比し、アキノ大統領との首脳会談に臨んだ。
李大統領は、独裁政権下での民主化運動を指導したとして捕まり、約5カ月間刑務所に入った経験を持つ。戦後の貧困の中で、定時制高校を卒業するのに果物を売り、ごみ運搬などの仕事もしたという。
大学卒業後に頭角を表し、37歳の若さでヒュンダイのCEOに就任。ヒュンダイは今では韓国で最大の複合企業となった。
10代を貧困下で過ごした李大統領が貧困から脱するには長い道のりだったようだ。「貧困はヒルのように私の家族に吸い付き、自由になるのに何年もかかった」と、英訳された自伝で語る。この自伝では比のマルコス政権下で、いかにヒュンダイが日本企業と競ったかをはじめ、ラモス、アキノ両大統領の時代についても記されている。
生まれ持った才能もあったのだろうが、李大統領が懸命に働き続けることで今日を成し遂げたのは明白だ。韓国がいかに国富を築いていったのかについても同じことが言える。ヒュンダイは現在、比では自動車メーカーとして知れられている。韓国の車と電化製品は世界でも指折りだし、ソウルの仁川国際空港も評価が高い。
一方で比は、はるかに遅れをとっている。外国の支援に頼るばかりでなく、韓国のように前を進む諸国に追いつこうとすることが大事だ。(21日・スター、アナマリー・パミントゥアン氏)