言うべきことは言え
対MILF和平交渉
モロ・イスラム解放戦線(MILF)のジャファール副議長(政治問題担当)は相次ぐ交戦の後、和平交渉について「当初からこれまで誠実に対応してきた」と語った。
同副議長は声明で、交戦による死傷者数にも触れた。しかし、彼らだけが犠牲者ではない。血なまぐさい交戦が和平プロセスを粉々にし、永続的な地域の平和を願った国民の善意と信頼を奪ったからだ。国民の支持がなければ、和平交渉は頓挫するかも知れない。
全面戦争論を退けたアキノ大統領の判断は正しかった。全面戦争となれば、ミンダナオ地方は悲惨な状況になっただろう。しかし、大統領は、MILFに言うべきことを言わなければならない。
同副議長は「停戦協定を順守するよう命令を出している」と言う。バシラン州などでは、これと矛盾することが起きた。MILF幹部は配下を統制できていない。和平の正しい交渉相手とみるべきかどうかも検討を要しよう。
MILFの和平への誠実さを試すのは簡単だ。MILFに交渉を妨害する配下に罰を与えさせることだ。それができなければ、和平に進展はない。
「バンサモロ・イスラム自由戦士」と呼ばれる分派を形成したカト元部隊長を例にとれば分かりやすい。同元部隊長は、ミンダナオ地方で襲撃を繰り返した首謀者だ。数百人が死亡し数千人が避難民となった。MILFは、同部隊長を捕捉せよとの政府の求めに応じず、野放しにしている。大統領は、MILFに同部隊長など犯罪人の引き渡しを求めるべきだ。
今年8月、SWSの世論調査で国民の83%が和平交渉の進展に希望を持っていると回答した。MILFは和平への希望を台無しにしている。(25日・インクワイアラー)