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8月29日のまにら新聞から

官民で感染拡大予防

[ 738字|2011.8.29|社会 (society)|新聞論調 ]

首都圏などのデング熱

 厚生省によると、2010年1〜9月初旬までに確認されたデング熱患者は前年同期比88%増の約6万2500人で、うち465人が死亡した。

 一方、今年1月以降の患者数は4万5333人にとどまり、前年同期を34%下回っている。死者も267人と前年のほぼ半数だ。

 これは前年の教訓が生かされたためなのだろうか。答えは否だ。なぜなら、首都圏を含む4地域の感染者数は前年の約3倍と急増し、特に首都圏では、マリキナ市を除く全市町で前年を超える患者数が確認されているためだ。

 首都圏で患者数の増加が目立つのはマラボン市で、前年比9割増に相当する491人が感染した。同市当局は市民の間にパニックが広がることを懸念し、「アウトブレーク(爆発的感染)」宣言をためらっているようだが、感染拡大防止のためには緊急性と危機感を伴った対応が求められる。

 デングウイルスを媒介する熱帯シマ蚊は、降雨による水たまりなどで繁殖する。このため、マラボン市の直面する問題は、他自治体にとっても人ごとではない。感染者数が前年を下回っている東・西ビサヤ地域で、今後も「幸運な状況」が続く保証はない。

 「幸運」と書いたが、デング熱患者数の増減は決して運次第なのではなく、自治体や住民の取り組みで発生拡大を防ぐことが可能だ。この取り組みに、高価な最新技術や科学的ノウハウは不要。必要なのは、蚊の繁殖場所になり得る水たまりなどの徹底排除と蚊帳や虫よけ、露出部分の小さな衣服による自衛措置で、感染の恐れがある場合は直ちに医師の判断を仰ぐことも大切だ。そして自治体と厚生省には、住民への積極的な情報提供と地域内の一斉清掃実施など迅速な対応が求められる。(24日・インクワイアラー)

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