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7月11日のまにら新聞から

監察院は十分な準備を

[ 735字|2011.7.11|社会 (society)|新聞論調 ]

前政権の汚職追及問題

 行政監察院は今、農務省予算流用疑惑について汚職罪での訴追対象となりうる政府高官の洗い出しを進めている。また、前政権下における比慈善宝くじ協会(PCSO)基金の流用についても調査に着手する 前PCSO事務局長によると、調査費の支出に際してアロヨ前大統領から直接決済を得たことが分かっている。同局長には出国停止命令が出され、別のPCSO幹部には国税局が脱税容疑で調査を開始。カトリック司祭に対する高級車寄付問題についても上院が聴聞会を予定している。

 アキノ政権による汚職撲滅キャンペーンがいよいよ本格化してきたようだ。必然的に大きな汚職疑惑ではアロヨ前大統領を含む前政権幹部の関与が指摘されている。しかし、この汚職疑惑を追及する同院の特捜班は今後の厳しい法廷闘争に対する準備を十分に整えておく必要がある。PCSO基金の不正流用疑惑では関与金額も大きく略奪罪で起訴されれば保釈も認められない。有罪が確定すれば終身刑が待っている。そのような汚職疑惑への関与を疑われた者は誰でも自分の弁護に強力な布陣を用意するに違いない。

 これらの汚職疑惑を審理するのは、容易に非難や判断が下される世論という法廷ではなく、合理的に疑うべくもない証拠を基に審理する法律が支配する法廷である。議員特権に保護された上院議員らが単なるうわさや不十分な証拠を基に相手を中傷することが出来る上院聴聞会などでもないのだ。

 良い統治とは、不正行為の噂に対し、十分な証拠に基づき有罪判決が勝ち取れることが基盤となる。アキノ政権による不正追及の障害となってきた前行政監察院長はもういない。遅延や失敗は許されない。もし、この訴追に失敗したら、逆に現政権が魔女狩りをしたと非難されるだろう。(9日・スター)

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