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10月25日のまにら新聞から

教会の自己矛盾

[ 731字|2010.10.25|社会 (society)|新聞論調 ]

人工避妊具配布

 人工避妊具の配布を含めた人口対策の是非が盛んに論議されているが、人口抑制を図ろうとした為政者はアキノ大統領が初めてではない。政府予算を使った避妊具購入と配布は、マルコス政権下の1970年代から約40年間続いてきた。これは紛れのない事実であり、アキノ政変(1986年)以後では特にラモス、エストラダ両政権が人口抑制策に熱心に取り組んだ。

 これに対し、カトリック教会は「生まれ出る者の権利保護」や憲法規定を盾にして、人工避妊具の使用に反対してきた。元政府高官の知人は「政府の避妊具配布は、避妊具を買えない貧困層向け。富裕層らの避妊具使用を看過しながら、貧困層への避妊具配布に反対する教会の姿勢は自己矛盾している」と言うが、わたしもこの意見に同感だ。

 貧しい子供たちの生活や教育、医療について、責任を何ら負わず、またその能力もないカトリック教会のリーダーたちに、避妊による家族計画という夫婦の権利を制限する権利はない。他方、政治家は、無計画な妊娠・出産が予算支出増大と社会サービス低下を招くことを念頭に、長期的視野に立って人口問題に取り組まねばならない。

 しかし、人口対策に異を唱え、政府予算による避妊具購入に反対する政治家が絶えないのはなぜか。

 答えの一つには、数年後しか見ようとしない政治家と長期的かつ持続的取り組みが必要な人口対策の「時間軸」が一致しないことが挙げられる。効果の現れにくい人口対策よりも、インパクトの強い事業への予算投入を求めるわけだ。教会組織への反抗が政治的リスクを伴うことも理由の一つ。特に、全国的人気が物を言う正・副大統領選や上院選では、教会リーダーの怒りが勝敗を分けてしまう。(18日・マラヤ、ベンジャミン・ジョクノ氏)

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