進むべき道を示せ
進むべき道を示せ
大統領が施政方針演説で示さなければならないのは、①国の現状②国の進むべき所③その場所へ至るための方策︱︱の3つだろう。しかし、アキノ大統領は39分間の演説のほぼ半分をアロヨ前政権批判に費やし、「国家財政が食い物にされ、財政赤字は(上半期だけで)1960億ペソに達した」と訴えた。
大統領によると、総額1兆5400億ペソの2010年政府予算のうち、すでに9492億ペソが支出済みで、下半期の予算は5914億ペソしか残っていないという。
さらに前政権に対する指弾は、首都圏水道局(MWSS)幹部の高給問題▽国家食糧庁(NFA)によるコメ過剰輸入と闇米流出▽コメ国内市場のカルテルとNFAの巨額赤字▽政治的得点を狙った電気料金の値上げ抑制と国家電力公社の赤字垂れ流し▽首都圏鉄道(MRT)の料金据え置きと政府による損失補てん▽アロヨ前大統領が出馬した下院選挙区を対象にした災害対策基金の「偏向支出」︱︱などにも及んだ。
これら演説内容は、アキノ大統領が選挙から2カ月以上が経過した今もなお、「選挙戦モード」から抜け出せないことを示しているように思う。もっと言えば、演説で口にした「われわれは今一度、夢を見ることができる」というビジョンを具体的に語らず、国民への参加呼び掛けに留意しなかったことは間違いだったように思う。
アキノ大統領は選挙で過半数を制した「多数派の大統領」ではない。しかし、国民の多くが新政権に大きな希望と信頼を抱いているのは事実で、それだけに「これから国の進むべき所」、そして「その場所へ至るための方策」の詳細の説明にもっと時間を使うべきだと思う。(7月27日・スター、フェデリコ・パスクアル氏)