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5月10日のまにら新聞から

歴史的節目の日

[ 728字|2010.5.10|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領選

 次期大統領が今後6年間にわたり、国家の財産を私物化したら、フィリピンはもはや生き残ることはできないだろう。その意味で、10日に実施される大統領選挙はこの国の命運を左右する重要な歴史的節目となる。と同時に、有権者たちが行う投票の「真価」が問われることにもなる。

 比は今、未曾有の困難に直面している。10年前に比べ国民生活は一段と悪化し、財政赤字と国家債務は史上最悪の規模に達している。その結果、教育、環境、そして国民の健康は無惨な状態に陥っている。汚職は政府内にまん延し、この疫病が国家の末端神経にまではびこり、むしばんでいる。

 投票日の10日はこの荒廃ぶりを一転させる好機となるが、そのためには有権者が賢明な投票を行使する必要がある。投票に当たっての選択肢は、①わくわく感はないが、誠実で良い遺伝子と経歴を持つ候補②立志伝中の実業家で腐るほどの大金を持つ候補③高齢で国民からかつて放逐された前大統領④若く毛並みはいいが、現大統領の後継者⑤その他の候補︱︱の5つ。

 ①の選択肢、即ちアキノ候補が最良だろうが、有権者の中には同候補に関し、「能力不足」「指導力不足」「遺伝子への不信」「農園問題」などを指摘する者もいるだろう。それらには、「能力があっても使い道を誤ったのが現政権」「国民をだますような指導力は不要」「アキノ氏は少なくとも母親の誠実さを引き継いでいる」と答えよう。

 有権者にはこうした点を十分に考慮してもらいたい。確かにアキノ候補は派手な発言はせず、国民を興奮させる人物ではない。だが、誠実な人柄で、当選すれば、権力におごることのない大統領になるだろう。(6日・ビジネスワールド、レオ・アレハンドリノ)

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