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10月26日のまにら新聞から

無責任な対応やめよ

[ 694字|2009.10.26|社会 (society)|新聞論調 ]

サンロケダム問題

 洪水でそこら中が水浸しになり、有権者からの苦情が絶えない中、パンガシナン州の政治家らが格好の標的とばかりにサンロケダムに怒りを向けるのも無理はない。市長や町長らは洪水防止策として、サンロケダムの閉鎖を訴えているもよう。左派系政治家も、市町長の呼び掛けに便乗して高水準の電力料金を非難している。

 しかし、ダム閉鎖が果たして、電力料金引き下げにつながるのか。

 不安定な電力供給状況や、夏場を迎えて耕作地が干ばつの危機に陥ったときに彼らは自分たちの言動を振り返るべきだ。ダムは、発電のほか、雨季の水がめ、乾季中のかんがいの備えとして造成された。さらに水力発電はクリーンエネルギーの一つだ。

 ルソン島北部が新たな超大型台風に向けて準備すべきことは、放水前の警告システムの設置と適切な放水量の取り決めではないか。どちらも現在、国家電力公社が対応を急いでいる。

 市町長らは、避難に向けた警報システムの伝達網改善に向け、ダム運営者、気象予報士らと連携すべきだろう。救援用のボートや被災民への救援物資を備蓄することも重要だ。

 首都圏でさえ、台風オンドイやペペンがもたらした多大な降雨量で過去に被害を受けたことがなかった場所まで洪水が発生した。

 もちろん、ダム運営者は、洪水被害の拡大につながった自身の過失を目の当たりにしたのだから、同じ過ちを繰り返さぬよう肝に銘じるべきだ。

 しかし、パンガシナン州が大きな洪水被害に遭ったのはこれが初めてではない。昨今は、地球温暖化の影響で洪水問題は複雑化している。条件反射的な行動で問題解決を図るべきでないことは確かだ。(21日・スター)

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