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8月31日のまにら新聞から

身勝手な論理

[ 716字|2009.8.31|社会 (society)|新聞論調 ]

前大統領の政界復帰

 略奪罪で終身刑判決を受けた後、大統領特赦で釈放されたエストラダ前大統領は次期大統領選に九九・九%出馬する。政界復帰のため、次のような身勝手な論理で過去の不祥事を正当化しようとしている。

 第1は野党の統一。前大統領は、大統領選候補者を野党で一本化できない場合、立候補すると言明した。そんな論理は説得力に欠ける。前大統領は、政変エドサ2(2001年1月)の恩恵を受けて就任したアロヨ大統領から権力を奪還したいだけだ。すでに分裂している野党は、前大統領の立候補で収拾不能状態に陥り、奪還実現は夢と化す。

 たとえ一本化に成功しなかったとしても、達成不可能な目標に突き進む必要はない。自身が唯一の勝ち駒だとでも思っているのだろうか。

 第2は汚名返上。アロヨ大統領はすでに特赦を付与した。裁判所からは略奪罪で終身刑判決を下され、それを支える証拠も十分存在する。彼は自身の地位を利用し、多大な富を蓄積した。現在権力を乱用している女性の後継者となったところで、汚名はそそげない。

 第3は残りの大統領任期。就任から2年半で彼は市民の手により追放された。大統領任期は6年。彼の主張通りであれば、万が一大統領に就任した場合、任期は3年半となる。彼が途中で権力の座を引き渡すとは思わない。

 もう一度言う。前大統領の論理には信ぴょう性がない。前大統領の再選は憲法に抵触する。法的に可能だとしても、それは前大統領が出馬すべきだということではない。私益を追求する前に、国益を考えれば出馬を辞退すべきだ。 

 ふさわしいからではなく、可能だから行動に移すのは幼稚で無責任、そして「九九・九%」恥さらしでしかない。(28日・インクワイアラー)

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