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7月20日のまにら新聞から

恩赦でなく壊滅を

[ 691字|2009.7.20|社会 (society)|新聞論調 ]

残虐な過激派集団

 壊滅できなければ恩赦を与えるのか。これがテロ攻撃や誘拐などを繰り返す犯行グループに対する弱い国の対処方法だ。

 イスラム過激派、アブサヤフが最初に悪名をはせたのは1995年4月、ミンダナオ地方南サンボアンガ州イピル町を襲撃した時にさかのぼる。町の中心部が焼き払われ、50人以上の住民が殺害された。

 それ以降、アブサヤフの犯行形態は変わり、司教、教員、教会や学校などを標的対象に犯行が繰り返された。被害者の首を切断し、拷問にかけるなどの行為を好み、時には犯行時の様子を映像で記録する。女性の胸が切り落とされた事件もあった。

 2000年にバシラン州で起きた拉致事件では、被害者の司教は指のつめをはがされ、森林地帯を連れ回された揚げ句、殺害された。こうした残虐行為を可能にする根拠とは一体どのようなものなのか。

 ここ数年では、身代金目的の拉致事件を繰り返すようになった。そして観光産業を破壊し、投資家を脅かした。東南アジアのテロ組織、ジェマ・イスラミヤなどと結託し、03年にダバオ国際空港、翌年にはスーパーフェリーを爆破した。

 そして今、アブサヤフは比政府からの生活支援で社会復帰を求めている。犯罪を繰り返した後、安らかな引退生活を望めるとでも思っているのだろうか。

 レイプ、誘拐、拷問、殺害の犠牲になった被害者の家族は、この恩赦付与についてどう感じるだろうか。犯罪集団に手を差し伸べる前に、公正と法の支配を求める人々の声に耳を傾けるべきだ。アブサヤフへの恩赦付与案はゴミくずと同じ。何のイデオロギーも宗教も持たないアブサヤフは壊滅するしかない。(16日・スター)

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