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6月22日のまにら新聞から

外遊三昧で失脚へ

[ 723字|2009.6.22|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領訪日

 アロヨ大統領は十七日、四日間の訪日に出発。さらに二十五日までブラジルなど外遊を続ける。これは現任期中の初外遊、バチカン訪問(二〇〇五年四月)に始まる過去五年間で二十一回目の外遊となった。この間、大統領は年間平均五回の外遊でアフリカ大陸を除く二十カ国以上を訪れ、共和国史上最も海外に出ている大統領となっている。世論調査でのアロヨ大統領の支持率低迷ぶりも記録的なものだが。

 外遊を正当化する理由は尽きない。常に目的地では会議が開催され、援助事業の交渉や比人海外就労者(OFW)の保護など理由をつける。OFWの海外送金は経済浮揚効果のみならず、大統領の外遊の口実にもなっているのだ。外遊のコストとその利益について、より真剣に論議するべきではないか。

 日本への出発前の演説で訪日の目的について「日本との強固な関係を証明し、歴史的な比日経済連携協定の発効による関係促進を後押しする」と述べた。これが真の理由だとすれば、大統領は北朝鮮の核問題など安全保障に関して、日本の政府、民間と協議すべきだ。計四億五千六百万ドルに上る政府開発援助(ODA)の二事業に署名するとしたが、事業が外遊目的とすれば、単に富裕国に依存する比経済を浮き彫りにするだけではないか。

 任期満了までの一年であと五回は外遊ができる。国民の税金で旅行を楽しむ時間は限定されつつあり、旅行三昧(ざんまい)も最後のチャンスだ。マルコス元大統領のように宮殿を追い出される可能性もある。大統領は首都圏に嵐が来る前に、隠れ家を探した方が良い。元大統領はハワイへの亡命しか選択肢がなかった。アロヨ大統領はその選択さえできないかもしれないが。(19日・インクワイアラー、アマンド・ドロニラ氏)

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