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5月25日のまにら新聞から

新聞論調

[ 722字|2009.5.25|社会 (society)|新聞論調 ]

無策で開発進まず−ビコール地域の貧困

 ルソン地方ビコール地域は、イスラム教徒自治区(ARMM)と並んで、最も貧しく開発の遅れた地域とされる。その要因の一つには、アロヨ現政権が同地域の開発にとりわけ不熱心なことが挙げられる。以下では、現政権の無策を分野別に例証した。

 【鉄道】首都圏のビコール地域を結ぶ国鉄南方線は不通状態が続き、運行再開のめどは立っていない。一方で、パンパンガ州などと首都圏を結ぶ北部ルソン鉄道には八億ペソもの予算が支出された。

 【道路】ルソン地方中北部では中部ルソン高速道などが整備され、ビサヤ、ミンダナオ両地方の道路も改善されているにもかかわらず、ビコール地域の幹線道の状態は劣悪。道路アクセスのないバランガイ(最少行政区)も多い。

 【空港】管制システムの老朽化で、レガスピ、ナガ両市などへ向かう便は悪天候によりしばしば欠航する。対照的に、イロイロ、ネグロス、ボホール各島の空港には最新システムが導入され、ターミナルも新設・改修された。

 【自然災害】現政権下、台風通過やマヨン山噴火で大量の避難民が出たのもかかわらず、常設の避難センターはいまだに建設されず、救援物資備蓄・管理用の施設もない。ビコール川の洪水対策も進まず、周辺地域の農民が甚大な被害を受け続けている。

 【NPA対策】比共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)はビコール地域のほぼ全域で活動をし、住民や企業は交戦、焼き打ち、待ち伏せなどの被害を受けている。

 【観光産業】マヨン山や美しい海など豊富な観光資源があるにもかかわらず、観光地としての開発は進んでいない。主要因は空港の未整備で、観光地に近い場所に空港を新設する必要がある。(20日・トリビューン、アーネスト・マセダ氏)

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