統一選失敗シナリオ
電子投票システム導入
次期統一選(二〇一〇年五月)における電子投票システム導入決定で、「選挙失敗」が現実味を帯びてきた。
中央選管の委員らは〇八年に実施されたイスラム教徒自治区(ARMM)選挙における同システム導入の成功を盾に、「全国規模でシステムを導入しても問題ない。不正は最小限に抑えられる」と強弁する。
しかし、ARMM選挙は統一選に比べてあまりに小規模で、対立候補による抗争もほとんどなかった。同選挙での「成功」を理由にした、統一選でのシステム導入強行は、短絡的判断と言わざるを得ない。
次期統一選で、コンピューターの誤作動、特定候補を利するプログラムの改ざん、大規模な停電などが起きた場合、中央選管は「選挙失敗」を宣言することになる。
失敗宣言後のシナリオは少なくとも二つある。一つは、①アロヨ大統領の任期が切れる一〇年六月三十日までに正副大統領選の当選者が決まらない②憲法規定に基づいてエンリレ上院議長が大統領代行に就任③四十五︱六十日以内にやり直し選挙が実施され手作業で集開票︱︱という流れ。もう一つのシナリオは、軍・警察関係者に乗っ取られた現政権が非常事態を宣言し、改憲強行によって権力保持を図る内容だ。仮に、憲法に沿って再選挙となった場合も、膨大な労力と公金が無駄になることはいうまでもない。
不正や不測の事態による選挙失敗を回避するため、中央選管がやるべきは、電子システムの限定的導入や有権者名簿の再確認、有権者を対象にしたシステムの周知徹底だ。しかし、中央選管はこれらをないがしろにし、歩き方すら知らないまま突っ走ろうとしている。(22日・トリビューン、ニネス・オリバレス氏)