判事定年制を廃せ
汚職疑惑後の司法改革
マニラ電力経営権裁判をめぐる控訴裁の汚職疑惑で、同電力に有利な判決を執筆したロハス判事ら控訴裁判事五人が処分された。迅速な調査により、司法制度への信頼を幾ばくか回復させた最高裁の対応を「歓迎すべき兆候」として評価したい。
しかし、国民の大部分が「比の司法制度は目の不自由な人と同然。モノと同様、判決も金で買える」と信じる中、今回の汚職疑惑で増幅した疑念は控訴裁だけでなく司法制度全体に向けられていると言わざるを得ない。裁判の中で動く金の話、そして「政治的調停」をめぐる雑音は枚挙にいとまがない。
今回の控訴裁判事処分は、このような司法制度を改革する好機と考える。そこで、米国に倣って最高裁判事の定年(七十歳)を廃止するよう提言したい。
定年がある限り、判事は老後の安寧を願って政治家にすり寄ったり、転職先を確保しなければならない。定年後に政府高官の職を得た破廉恥な元比最高裁長官のように。
定年制を廃止すれば、極端に言えば死亡するまで判事を続けられる。カネや猟官活動、政治的圧力とは無縁な「独立した一人の判事」としての地位が保障されるわけだ。
司法長官や最高裁長官らで構成される法廷評議会(JBC)の推薦者リストから、最高裁判事が選ばれる現行制度にも問題がある。
JBCは司法の独立性を高めることを目的に設立された。しかし、そのメンバーの大半、そして最高裁判事の任命権はいずれも大統領にある。現政権下のような状況では、人選結果が政治色を帯びるのは自明の理であろう。(12日・マラヤ、ダッキー・パレデス氏)