困難な情報入手
報道界に新たな課題
フィリピンでは昨年、ジャーナリストが殺害される事件が減少した。国際的な非政府組織(NGO)、フリーダムハウスはこれを受け、比の世界における報道の自由度(二〇〇七年、対象百九十五カ国)を前年の百位から九十七位へ引き上げた。しかし、ボスニアと同じランクの自由度を喜ぶわけにはいかない。
別のジャーナリスト組織も、三日の「世界報道の自由の日」に合わせて「〇七年版不名誉国リスト」を発表。これには十三カ国がリストアップされており、その中に比が含まれている。その理由として同組織は、アロヨ大統領の夫、ホセミゲル氏が比報道界を相手に起こした四十六件にも上る「名誉棄損・損害賠償請求訴訟」を挙げた。その後、同訴訟は比国内外からの非難に加え、同氏自身の健康悪化もあり、すべてが取り下げられた。
昨年、比では当局による新聞社襲撃事件や記者らに対する有力者による名誉棄損訴訟問題は減少し、同時にイラクに次ぐジャーナリスト受難国との不名誉なレッテルは外された。しかし、問題なのは過去に起きたジャーナリスト殺害事件のほとんどが依然、未解決状態であること。これも比が「不名誉国リスト」入りした要因となっている。
一九九七︱〇七年の間に比で起きた二十四件のジャーナリスト殺害事件が依然、解決されていない。最大の原因がこの国にはびこる「犯罪を最後まで追及しない風土」であり、これが報道界に大きな脅威を与えている。さらに今、ブロードバンド網構築事業をめぐる汚職疑惑を機に、情報源への接近が難しくなっている。政府はさまざまな壁を設け、記者の情報入手を妨げているためで、報道界にとってこの傾向は新たな課題となっている。(3日・スター)