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4月28日のまにら新聞から

被害者は国と国民

[ 719字|2008.4.28|社会 (society)|新聞論調 ]

現政権の強欲体質

 アロヨ大統領は国を裏切ろうとしている。南シナ海南沙(比名カラヤアン)諸島とスカーボロ礁の領有権を主張すべきなのに、大統領は欲におぼれ、そして中国の圧力に屈し、それを定める群島基線定義法案の成立にブレーキをかけている。中国政府は同法案を審議する比国会の動きにあからさまな不快感を表している。中国は同法案が成立すれば、外交関係の断絶にとどまらず、最悪の場合、軍事衝突が起こり得ると脅している。 

 同法案が第二読会を通過したときでさえ、アロヨ大統領は同法案にほとんど関心を示さなかった。それが突然、下院に対し同法案審議の停止を要求してきた。大統領が中国の圧力に屈し、同法原案から南沙諸島の部分を削除するよう下院に働き掛けてきたのは明らかだ。

 比は領土問題で過去に苦い経験を持っている。マルコス政権はボルネオ島サバの領有権を主張せずマレーシアのマハティール首相(当時)の手にサバを渡してしまった。その二の舞は許されない。にもかかわらず、アロヨ大統領は比領海内で中国による石油と鉱物資源の探査調査を許してしまった。これは明らかな違憲行為である。

 また、不正行為を何とも思わない中国企業からは、たとえば、北部ルソン鉄道建設事業で大統領とその取り巻きに裏金が流れていた疑惑も浮上、国家と国民に多大な損害を与えている。同事業計画では建設費が不正に上乗せされただけでなく、契約書には比側が融資返済に失敗したら、中国が比の資産を差し押さえられるとの条項まで含まれていた。南沙諸島の領有権問題が例外であるはずはない。アロヨ政権は発足直後から汚職に手を染めてきた。アロヨ政権は汚職にまみれ、国家と国民に苦痛をもたらしている。(23日・トリビューン)

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