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3月3日のまにら新聞から

裁判という「落とし穴」

[ 700字|2008.3.3|社会 (society)|新聞論調 ]

不正受注疑惑の真相解明

 ブロードバンド網(NBN)構築事業に絡む不正受注疑惑への批判と怒りが広がる中、アロヨ大統領、閣僚、取り巻きたちは「疑惑があるなら、裁判で決着をつけるべきだ」と主張、真相解明を国会審議の場ではなく、司法の手に委ねるよう求めている。

 これに挑戦したのがサロンガ元上院議長で、同氏はこのほど、アロヨ大統領を略奪防止法、汚職取締法違反などの容疑で行政監察院に告発した。しかし、ここに危険な「落とし穴」が隠されているのだ。サロンガ氏もこの点を分かっているようで、大統領の任期切れ(二〇一〇年)前に「有罪」判決が出るとは楽観視していない。

 「真実追求」の動きに対し大統領府の当局者は、「上院は疑惑審議を直ちに終了すべきだ」と発言、疑惑の裏側を知るとみられる重要証人を喚問している上院の真相解明作業に横やりを入れた。なぜなら、アロヨ大統領と関係の深いゴンザレス司法長官と、大統領の夫、ホセミゲル氏とは大学の学友であるグチェレス行政監察院長らが、何としても大統領らを守り通してくれると信じているからだ。実際、グチェレス院長は過去に、大統領らが寄せた「期待」にふさわしい行動をとってきた。

 このため大統領府が望むように今回の疑惑解明が司法の手に委ねられていたら、現時点で明らかにされた①「強欲グループ」による大規模な事業費上乗せ行為②わいろの支払い手口と流れ先③大統領夫妻の関与の度合い︱︱などが表面化することはなかっただろう。上院は真実を国民に示すため疑惑解明に努め、「悪者が国民の血税から出た巨額賄賂を手にして笑う」状況を阻止しなければならない。(1日・インクワイアラー)

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