結論を早まるな
グロリエッタ爆発
首都圏マカティ市の大型商業施設グロリエッタ2で起きた爆発で、液化石油ガス(LPG)タンクが爆発原因ではないかと最初に指摘された。爆発から数時間後、この推論は国軍の責任ある幹部に否定された。
国家警察は「爆発物による可能性が強い」との見解を示した。爆発の翌日には国軍参謀総長が「テロ事件」と断言、軍用高性能爆弾C4に使用される化学物質RDXも検出された。
その後、捜査の風向きが変わり始めた。首都圏警察は、化学物質を詳しく分析する必要があると指摘し、さらに爆発は地下一階で起きたという。また、国家警察は「爆発は地下で発生した。地下へと続く階段に陥没があった」と発表したが、地下一階で爆発が起きたとする説はおかしい。なぜなら、この説が発表された当日、地下一階はまだ水没していたからだ。大量の水が二つの貯水タンクから流れ出て、爆発から数日間は誰も地下一階に入り込めなかった。それなのに、爆発翌日に地下一階説をなぜ言い出せたのか。
爆発から三日後、捜査官らはテロ犯行説を否定しないまま、事故説を強め、当初の見方を大きく変えた。消防当局者は、地下一階にたまったメタンガスが引火し軽油タンクを爆発させたと説明した。これに対しフィリピン大の専門家は、「メタン+軽油」説に公然と疑問を投げかけた。軽油に揮発性はなく、メタンガスは固形廃棄物が蓄積した閉鎖された場所で発生すると。
爆発原因の推論は新事実が明らかになれば変化する。だがRDX検出以外に、爆発につながる要素はない。捜査官が爆弾説に傾くのはわかるが、すべての事実を究明するのが職務である。事実がすべて整わない段階での推理は性急な判断を生むだけだ。(25日・インクワイアラー)