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8月6日のまにら新聞から

乱用と汚職を懸念

[ 681字|2007.8.6|社会 (society)|新聞論調 ]

非常特権付与問題

 アロヨ大統領は水不足による干ばつを懸念して、国会に非常特権付与の要請を検討しているという。農地は枯れ、食料供給危機が懸念されているほか、貯水池の水位低下は電力供給を脅かしている。

 大統領の非常特権付与要請は初めてではない。ラモス元大統領は就任直後の一九九三年、電力危機解消のため、非常大権を付与された。当時、首都圏では一日八時間の停電が数カ月続き、外国人投資家離れを加速させた。そんな中、同元大統領は大権を行使して、首都圏の都市機能を回復させた。

 半面、非常大権行使の代償は大きかった。消費者は独立系電力会社が生産した電力を使い切れないまま、割高な電気料金を支払う結果を生んだ。アロヨ大統領もこの教訓を参考にした上で、特権付与の国会要請を検討すべきだ。

 もう一点。非常特権行使は、権力乱用や汚職の機会を与える手段としてはならない。相当な資金を要する事業を迅速に施行する必要がある場合、政府担当者は水増し手数料の要求を拒否すべきだ。選挙集計システム自動化や空港、政府ブロードバンド網構築など大型事業ではほぼ例外なくスキャンダルが浮上する。例え干ばつが続いても、特権付与に反発する理由は十分だ。既存の権限を適切に行使していない現政権となれば当然だろう。

 案の定、与野党国会議員は特権付与に反対を表明した。気象専門家はここ一カ月で干ばつは終わると予測しており、特権は必要ないかもしれない。だが、政府は国会議員の反応から、非常特権は国家的緊急時における意思決定手続きの省略であって、法の軽視に道を開くことではないことを理解すべきだ。 (3日・スター)

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