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6月25日のまにら新聞から

政権の正統性問う判決

[ 677字|2007.6.25|社会 (society)|新聞論調 ]

前大統領不正蓄財裁判

 エストラダ前大統領が略奪罪と偽証罪に問われた不正蓄財裁判の審理開始から六年が経過した。先日行われた最終弁論で検察側は、前大統領の資産申告について「うそをつくことは罪である」と陳述したが、傍聴席からは失笑が漏れ、「同じことをアロヨ大統領にも言うべきだ」との声も聞こえた。

 この六年、エストラダ前大統領退陣の発端となった違法賭博フエテンは撲滅されることなく、運営され続けた。汚職や政治家、公務員のうそもさらに深刻さを増した。前大統領の弾劾裁判で「彼(エストラダ前大統領)のような盗っ人に国政を委ねることはできない」と言い切ったアロヨ下院議員‖当時‖は現政権下で与党上院議員となり、政変エドサ2で「英雄」と持ち上げられたシンソン南イロコス州知事は今回の上院選で有権者に大金をばらまきながらも落選した。二〇〇一年、選挙の洗礼を受けることなく誕生したアロヨ長期政権はこのような政治・社会状況に支えられてきた。

 不正蓄財裁判の判決は九月にも出る見通しだ。前大統領は無罪判決を確信しているようだが、仮に無罪の場合、任期途中で大統領の座を追われた前大統領の苦痛と怒りが少しは和らぐことだろう。

 他方、無罪判決はアロヨ大統領にとって重大な意味を持つ。前大統領が不正行為を犯していなかったことが確認されることで、不正疑惑を踏み台に前大統領を退陣へ追いやった政変エドサ2の意味が根底から揺れる。さらに、政変で成立した第一期アロヨ政権の正統性とともに、アロヨ大統領が再選を果たした〇四年大統領選の結果も問題になるだろう。(18日・マラヤ、エレン・トルデシリャス氏)

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