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4月16日のまにら新聞から

治安と交通事情悪化

[ 655字|2007.4.16|社会 (society)|新聞論調 ]

急増する2輪車対策

 二輪車急増に伴って二輪車を使った犯罪や無謀運転、騒音などが社会問題化している。

 二輪車犯罪の犯人は大抵二人組で、車列の間からいきなり現れては、拳銃を発砲したり、歩行者から携帯電話やかばんを奪って素早く逃走する。頭全体を覆うヘルメットをかぶり、排ガス対策を装ったマスクや真っ黒なバイザーで顔を隠すため、犯人の特定は極めて困難だ。

 犯罪だけでなく、大きな排気音を出しながら猛スピードで疾走する二輪車の存在も四輪車のオーナーや歩行者にとって大きな脅威となっている。また、二輪車の排ガスは大気汚染を一層深刻にしている。

 首都圏の自治体首長らは最近開かれた会合で、二輪車犯罪の対策を協議した。対策の立ち遅れを指摘したパシッグ市のユセビオ市長らに対し、マカティ市の副市長は同市条例と同様の法整備を他市町でも急ぐよう提案した。市条例は「顔全体を覆わないヘルメットの着用」を義務付ける内容だが、犯罪対策としては不十分だろう。

 他の対策としては、陸運局での車両と所有車の登録徹底、二輪車に乗る警察官の増員などが考えられる。特に「二輪警官部隊」は車列の間をすり抜けて逃走する犯人を追い掛け、逮捕する有効な手段で、早期実現が望まれる。

 二輪車が急速に普及している要因は、言うまでもなくその安価さにある。購入者の主流はジプニーやバスなど公共交通機関に代わる移動手段を求める若者たちだが、現状でさえ乗用車やバス、ジプニーであふれる首都圏で、二輪車が増え続ければ、治安と交通事情のさらなる悪化を招くだろう。(14日・タイムズ)

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