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12月4日のまにら新聞から

不十分な環境管理

[ 685字|2006.12.4|社会 (society)|新聞論調 ]

有害化学薬品の流出

 この一週間のうちに、首都圏マカティ市の公立高校で化学薬品の保管庫が壊れ、発生した有毒ガスで教員や近隣の住民らが入院、ルソン地方ブラカン州マリラオ町ではかんがい水路に有毒な化学薬品が投棄され、異臭で周辺住民三千人が避難するという事件が相次いだ。

 この二つの事件は、有害な化学薬品の取り扱いで安全が無責任にも軽視されていることを示した。当局は化学物質の拡散に迅速に対処したかもしれない。しかし、公教育や化学的実験、製造を管理する全般的な環境行政が不在とは言わないまでも不十分という懸念はぬぐえない。

 これらの懸念はブラカン州での事件で決定的に広がった。もし教育機関や環境当局が学校での化学実験がはらむ危険に鈍感なのはまだしも、政府は化学的廃棄物の処理や化学産業が内在するリスクに対してとてつもなく無神経なのである。

 環境天然資源省の職員は何をしているのか。環境団体は有害廃棄物を処理する企業に対する許認可制度が不透明との懸念を表明している。同省は汚水タンクの汚物処理さえ検査していないようだ。同省のおかげで、われわれの環境は巨大なごみ捨て場になってしまっている。

 さらに、アロヨ大統領は日本の化学、医療、自治体からの廃棄物に輸入関税を免除する条項を含んだ経済連携協定を日本と締結した。当時、環境天然資源長官だったデフェンサー大統領首席補佐官はこの条項に反対したというが、貿易産業省が押し切ったという。

 同協定により比は世界の有害廃棄物の捨て場であると表明したようなものだ。ブラカン州の事件などで比はその肩書通りであることをを自認した。 (1日・インクワイアラー)

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