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10月2日のまにら新聞から

汚職への正義実現を

[ 701字|2006.10.2|社会 (society)|新聞論調 ]

行政規律委員会

 タイの軍事政権はタクシン前首相の資産を徹底的に調査することを決めた。汚職による不正蓄財がどれほどか確かめるためだというが、われわれフィリピン人がかつて自国の政府に期待していた汚職役人の摘発が今ではタイで繰り返されているのだ。

 アキノ政権がまず最初に出した法律が大統領府行政規律委員会を設置するものだった。同委員会はその後、さまざまなスキャンダルにまみれてしまったが、発足当初は海外の民主化を進める国にとってモデル機関となった。韓国政府は、同委員会の役割を学ぶため人員を派遣しており、その後、同国の前大統領二人を汚職で牢獄にぶち込んだのである。

 韓国政府が前大統領を訴追したのは民主化後十年以内だった。一方、行政規律委員会は設置後二十年が経過したが、これまでに数人のマルコス政商と妥協し、マルコス資産のほんのわずかを回収したに止まっている。また、回収した資産の売却が進まずその価値が下がる一方で、マルコス政商が経営していた企業の売却などもまったく進んでいない。

 今回の上院議会による同委員会の委員長はじめ関係者への公聴会召喚は、その動機がどうであれ、同委員会の存続の正当性を確かめる意味で有効な措置だった。上院は回収した資産がどれぐらいの価値があり、売却が実施されないことでいくら損失があったのか財務的な情報を知る良い機会だった。

 しかし、わが国では不正蓄財疑惑があったアキノ以降の歴代大統領でもこれまでに有罪判決を受けた者はまだいない。今回、タイは誠実さを回復するために民主主義を犠牲にした。一方、フィリピンは民主主義を謳歌しているが、正義は欠けたままである。 (29日・インクワイアラー)

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