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9月18日のまにら新聞から

再び軍事国家に?

[ 675字|2006.9.18|社会 (society)|新聞論調 ]

「安倍首相」の日本

 小泉首相の後任者を選ぶ自民党総裁選は、同首相の後継指名を受けた「安倍晋三官房長官」で決まったようだ。二十日の総裁選後、「アベセンセイ」のかじ取りで日本はどのような道を進むのかを考えてみたい。

 雑誌「タイム」最新号は表紙写真に安倍氏を使い、「シンゾウ・アベとは誰か」という特集を組んだ。記事は「強いリーダー」を歓迎する日本国内の声を紹介する一方で、「危険なナショナリスト」に対する批評家らの警戒感を伝えた。

 小泉首相は六十一回目の終戦記念日にモーニング姿で靖国神社を参拝し、中韓両国を怒らせたが、安倍氏はこれを上回ることを実行するかもしれない。それは、「北朝鮮のミサイルと成長を続ける中国の恐ろしい幻影」を理由に、「再軍備」に道を開く憲法改正である。

 日本人は、中韓両国が太平洋戦争中の「南京大虐殺」や日本植民地時代の虐政を決して忘れないことを知っている。にもかかわらず、安倍氏は「中韓の怒りにいつまで卑屈に追従するのか」という右翼支援者の合唱を背に、「自衛軍」より攻撃的な軍隊を持つため憲法をいじろうとするだろう。

 軍備と宣戦布告を禁じた憲法が改正されても、日本が直ちに軍事国家になることはない、と思ってはならない。日本は太平洋戦争集結からわずか十年ほどで、船を世界一速く安く造れるまでに復興した国だ。世界第二位の経済力を有する国は、携帯電話を生産するごとく、空母やミサイル巡洋艦、ジェット戦闘機の生産ラインを作り上げるかもしれない。高齢化が進んでいるとはいえ、今なお日本は鉄の筋肉をまとい得るのだ。(14日・スター、マックス・ソリベン氏)

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