根本問題を忘れるな
2007年統一選問題
ブニエ報道長官は一月三十一日、「二〇〇七年の統一選挙を実施する」との声明を発表し、その理由としてカトリック司教協議会とラモス元大統領の双方が同選挙の実施を求めたことを受け入れることにしたからだと強調した。ほぼそれと同時に下院の憲法改正委員会は、ゴレス下院議員による統一選不実施を退ける発議を承認した。ゴレス議員は、「統一選不実施の立場は葬り去られねばならない」と述べた。この大統領府と下院(デベネシア議長)の協力態勢は実に絶妙だ。大統領府のこの「変節」を受けてアロヨ大統領は、臨時のやり直し選挙の実施を受け入れ、もし負けた場合には政権を譲るのだろうか。
同じような事態が一九八五年末に起きた。当時のマルコス大統領がやり直し選挙を実施、その際、大幅な不正を働き、翌八六年二月、ピープルパワーの洗礼を受けた。アロヨ大統領は同じ過ちを犯そうというのか。しかし、アロヨ大統領は権力にしがみつくしかない。いったん大統領府を追われれば、さまざまな罪状が押しつけられ、家族と監獄に入れられてしまうからだ。
そもそも、統一選中止案が上がったのはなぜか。よく考えれば、これは議員らが憲法改正に賛成し、〇四年のアロヨ大統領の選挙不正を消し去るためのわいろのようなもの。統一選実施でさえ、野党議員を多忙にさせ、短期的にはアロヨ政権に有利に働く。
国民が統一選実施に目を奪われている間に、私たちはアロヨ政権の正当性という根本問題を忘れたのかもしれない。彼女は先の選挙で不正を行い、大統領の座にいる権利はないのだということを。(1日・マラヤ、エレン・トルデシリアス氏)