デモを利用するな
大統領辞任要求
アロヨ大統領と中央選管委員の盗聴会話問題が引き金となった昨年の選挙不正疑惑の再浮上で、フィリピンの政局は正常とはいえない状況に陥っている。数日前にはマカティ市の大通りで大規模集会があり、アロヨ大統領に辞任を要求した。きょうはリサール公園で大統領支持を表明する集会が予定されている。しかし言うまでもなく、デモ活動には多大な金がかかる。主催者は参加者に開催場所までの足代、食事代を払わなければならない。
大統領は自らの意思で辞任すべきではないし、辞任できないし、辞任しないだろう。二〇一〇年まで任期がある大統領として正当に選ばれているため辞任すべきではない。もし辞任すれば政敵からさらに攻撃されるため辞任できない。また、アロヨ氏は反憲法的な威圧に屈するタイプの人間ではないので辞任せず、完全に法が執行されるよう取り図るだろう。わが国は法治国家であり、人治国家ではない。大統領の退陣を要求する者は単に地位の奪取を狙っているだけだ。
路上でのデモを利用して大統領を退陣させようと動く代わりに、弾劾手続きという憲法規定にのっとるべきというサンチャゴ上院議員の声明に賛成だ。第一、野党勢はなぜ大統領が辞任すべきなのかという法的な理由を挙げていない。その代わり、路上の大衆デモ行動を使って決着をつけたいと思っている。
今のところ、すべてのデモ活動は
平和的に行われている。正直、デモ活動が国が抱えるいかなる問題の解決にはなると信じていない。野党勢に求めることはまず、政府の代案と二〇一〇年の大統領選の候補者の名前を国民に示すことである。(16日・スター、アレハンドロ・ロセス氏)