抗議の前に行動を
米代理大使発言
「ミンダナオはテロのメッカ」、「第二のアフガニスタンとなる可能性がある」︱︱このムッソメリ駐比米代理大使の発言に対し、比政府は抗議した。だが、比政府は抗議する前にミンダナオ地方でのイスラムの武装組織の実態を徹底調査すべきではなかろうか。
米代理大使の発言については説明などいらない。国内におけるイスラム武装組織のテロ活動の拡大は二月十四日にマカティ市、ダバオ市、ゼネラルサントス市で発生した同時爆弾テロ事件、昨年マニラ湾で百人以上の命を奪ったイスラム過激派、アブサヤフによるスーパーフェリー爆破テロ事件など、われわれの生活で「テロ」が日常化している揺るぎない事実がある。
国家警察は東南アジアのイスラム系テロ組織、ジャマ・イスラミヤ(JI)構成員がミンダナオ地方への出入国を繰り返している事実を認めている。また、国軍情報部もJI構成員の軍事訓練やテロ活動訓練の情報をつかんでいる。
しかも、治安当局はこの軍事訓練がモロ・イスラム解放戦線(MILF)の一部グループと合同で実施されているという事実を不承不承ながら認めている。無論、政府と和平交渉中のMILF指導部はJIに加担する構成員を裏切り者としてはいるが。
米代理大使は、米政府はMILFと政府の和平交渉を妨害する意志はないし、またMILFを「国際テロ組織」に指定するつもりもないと明言した。ただ、JIとの合同訓練は警戒すべきことだと述べている。
政府が状況を憂慮するのであれば、米国と同様、関心を示し行動に移すべきではないだろうか。(12日・スター)