正しい文法を使おう
誤用目立つ比英語
公共の場で英語が正しく使われているかどうかを確かめるため、公共交通機関を使って首都圏の商業地区や大学の並ぶマニラ市のユニバーシティーベルトなどを四時間ばかり動き回った。
最初に目に付いたのは、軽量高架鉄道(LRT)の車内などにある警告板だった。近代的な交通機関だけに完ぺきな文法に基づいて書かれていると予想したが、期待は見事に裏切られた。
警告板の一つは「Alight the train carefully(注意して降車を)」。言うまでもなく「alight」は「車などから降りる」という意味の自動詞。その後に直接目的語を置くことはできない。文法上は「Alight from the train carefully」と前置詞「from」を挿入する記述が正しい。
「Improper use of "Emergency Push Buttons" is punishable by law!(非常ボタンを不適切に使うと法律違反で罰せられます)」という警告板にも誤用例。この種の文で「improper(不適切な)」を使うのは不適切。なぜなら、乗客全員が非常ボタンの「適切な使用法」を知っていることを前提にしているからだ。ここでは、「misuse(悪用する)」を使い「Use this Button only for Emergencies. Misuse Punishable by Law」と表記すべきだろう。「法律違反」という強い言葉で乗客を脅す表現法も一考を要する。
駅構内の看板にも誤表記があった。故障中のエレベーターを「Unit temporary out of order」と表現していた。「out of order(調子が悪くて)」は形容詞句で、その前に置くべきは形容詞「temporary(一時的な)」ではなく副詞「temporarily(一時的に)」を使わなければならない。(7日・タイムズ、ホセ・カリリオ氏)