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12月13日のまにら新聞から

裁判の迅速化を

[ 669字|2004.12.13|社会 (society)|新聞論調 ]

参謀次長の不正蓄財

 中部ルソン島を襲った熱帯低気圧と台風で千人以上の死者が出て、被災者を支援する資金が底をつき始めた上、英国の債券格付け会社「フィッチ」がフィリピンの信用格付けの評価を引き下げた。さらに、一〇%をうかがう勢いのインフレ率を記録したことによって、国軍の汚職スキャンダルはすっかり主要ニュースとして扱われなくなった。

 国軍の汚職問題は影をひそめているものの、忘れ去られたわけではない。つい最近では、マカティ・ビジネス・クラブや司教・実業家協議会などの団体が共同声明を出し、政府に対し、ガルシア元参謀次長(元少将)や国軍幹部の不正蓄財疑惑を早急に解決するよう促した。また、同元参謀次長の資産報告書の原本が紛失したとの報道を受けて、事件追及の透明性も同時に求めた。

 国民が台風で被災した地域の悲劇にくぎ付けになり、違法伐採の問題で頭がいっぱいになっている今こそ、資産報告書を差し替えたり、改ざんしたりするのに良いタイミングだと言える。

 だが、少なくとも捜査当局は事件追及や汚職解明の全容解明に向け最善を尽くしている。最近、監視下に置かれた幹部は国軍の監査役として同元参謀次長の前任者だったし、国軍の会計担当だった下士官をも監視下に置いている。

 しかしながら、比では犯罪の証拠や証言者は消滅する傾向にある。もしこのような理由で同元参謀次長の裁判が失敗に終わるとしたら不運だ。国民はこの裁判をきっかけに国軍の腐敗一掃と改革が始まることを大きく期待している。同元参謀次長の軍法会議は国軍自体が組織浄化へと踏み切る試金石なのである。(8日・スター)

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